良いデザイン10ヶ条
こんにちは!アルジュナのアートディレクター、樹世です!
今回は、私が尊敬するプロダクトデザイナー、ディーター・ラムス氏による「良いデザイン10ヶ条」に学び、日ごろ気がけている事を書いていこうと思います。
ディーター・ラムス(Dieter Rams, 1932年5月20日-)
ドイツのヴィースバーデン出身のインダストリアルデザイナーで、家電製品メーカーであるブラウン社と密接に関わるとともに、インダストリアルデザインにおける「機能主義」派の人物。
1. Good design is innovative.
良いデザインは、革新的である。
既存製品の形を真似るものでもなく、単に新奇性のための新奇性を生み出すのでもない。
革新の神髄は、製品の機能すべてに明確に見て取れなくてはならない。
現在の技術的発展は、革新的なソリューションを生み出す新たなチャンスを提供し続けている。
長年デザイナーをやっていて、よく言われることがあります。
「奇抜なアイデアが突然降ってきたりするんですか?」
「デザイナーさんだから、普通の人とセンスが違いますよね」
…などなど、皆さんもそのような言葉に戸惑ったことはないでしょうか。
残念ながら奇抜なアイデアが突然空から降ってくることもないし、独特のセンスで発案することもそんなにありませんよね。(そんな仕事があれば楽しいかもしれないけど)
私たちデザイナーが大事にすべきことは、企業の商品やサービスをよりわかりやすく的確に伝えること。なので、ここでいう「商品の機能」にもっと着目することも必要だと思います。
目新しく奇抜であることだけを革新とは呼ばないと私は思います。むしろ、人の意識下にある共通性(誰でも思うこと)に直球で届くような意匠を身につけさせてあげることも、「機能する」デザインだと考えています。
商品やサービス、娯楽に至るまで、今の時代は「どこにもないもの」を生み出すことは相当難しいことだと思います。だからといって革新的なアイデアを生み出すことを諦めることはまだまだ早い。チャンスは無限大!だと私は思います。
多種多様な人間が地球上にいるかぎり、多種多様な感性があるわけだから、その人たちに真っ直ぐに届くアイデアを生み出せば良い。だから無限の可能性があります。
「史上初の革新的なアイデア」を生む必要は無く、「ありそうでなかった!」「こんなのほしかった!」をターゲットに届ける!これが私達デザイナーの腕の見せ所です。
典型に「ずらし」をくわえる
たとえば、一袋1000円の犬のおやつがあるとします。原材料は無添加の食材で出来ていて人間が食べても美味しく食べられる品質。しかし手作りのため人件費などの費用が割高なため原価が少々お高め。1000円で80gしか入っていません。
高級志向のワンちゃん好きに向けたブランド展開をしたいところですが、周りを見渡せばライバル商品が星の数ほど存在します。さて、いったいどうしたらライバル商品に勝てるだろう。そこで私は全国でおなじみの「ドン・キホーテ」に買い物に。3箇所の売り場を見てまわりました。
1.お菓子コーナー
2.ペットフードコーナー
3.おつまみコーナー
1.お菓子コーナーには安くて種類豊富な商品がずらり。ドンキホーテの本領が発揮されています。コンビニやスーパーよりダンゼン安いので、できるだけ安い商品を探して、まとめ買いをしちゃいますよね。
2.ペットフードコーナー
私はワンちゃんを飼っていないので日頃見て回らないのですが、犬種や年齢に合わせたいろんなフードがありました。飼い主さん本人ではなくて大事なペットが食べるものですから、原材料の表示にはしっかり目を通さないといけません。ペットフードに関しては、安心してリピート買いができることが大事。購入の定番化がポイントかもしれませんね。
3.こちらは私の好きなエリア。イカやメザシの干物、チーズや柿ピーなどお酒に合う商品がたくさん。しかしこちらはお菓子コーナーのラインナップよりも割高の価格です。(3袋1000円など定番ですよね〜)
ここで私がおもいついたのは、
・「おつまみ」と銘打った商品には1袋300円以上する商品でも許容範囲になる。
・内容は同じでもおやつとおつまみの表記の違いで買い手の印象が変わる。
ここで私はわんちゃんのおやつ、という表記を「わんちゃんのおつまみ」に変えてはどうかと思いつきました。
1袋1000円の商品でも、おつまみコーナーに売っていればおやつのコーナーにあるよりは違和感がない。そして、ペットフードには「おつまみ」は置いていないから同じような商品の競合が居なくなる。
商品コンセプトは、「ママのワインと、ボクのおつまみ」
…なんてどうでしょうか?
定番に少し目線をずらしてあげるだけで、商品の印象ががグッと変わるように思いませんか?
たとえ話がちょっと身近なものになりましたが、デザイン思考というのはこのように商品の価値に別の切り口からエッセンスを加えたりすることで「既視感」から「ありそうでなかったもの」に魔法をかけるようなこともできる!ということを考えてみました。
第一条の「革新的」という言葉をテーマに、今回はデザイン思考がいかに目の前の当たり前のものを新しく生まれ変わらせることができるか、ということをお話してみました。
あたらしくて、おもしろい!
これが一番デザインにとって楽しいひらめきです。
何気ない毎日の中でも頭のなかはデザインでいっぱい。そんな日々を楽しくすごしていきましょう!
では次回は
2. Good design makes a product useful.
良いデザインは、製品を有用にする。
のお話です!お楽しみに〜!