こんにちは、アルジュナの牛島樹世です。
最近、良いデザインとは何かを考える時に
そのデザインが「機能しているか」ということを基準に考えるようになりました。
というのは、ブランディングデザインの仕事が増えてきた中、デザインとはなにか、をクライアントにしっかりと伝える必要があるからです。
デザインの機能と情緒
まず、デザインの価値を「機能」と「情緒」の2つに分けることから考えます。
デザイナーはよく「アーティスト」と混同されることが多いんですが、それが若干ややこしいのです。
デザイナーには特別な感性がある、とか、美しい絵が描けるとか…。
それがなぜややこしいかというと、わたしたちは商業デザイナーなので、明確な金額(見積書)を提示しなくてはなりません。
その際に「アートディレクション」という実態の判りにくい項目に金額を記載し、適切な対価を頂く必要があるからです。
このように、私たちの仕事は、形なきものを形に起こし社会に届ける仕事。物事をロジカルに考え計画しています。
そしてそのデザインはブランドの価値やアイデンティティーを表現する「機能」をもっているかどうかが試されます。
要するにその機能性を開発し、計画をたてることがアートディレクションです。アートディレクション費という対価はその機能性の対価と言えます。
らしさを発揮する機能性
機能性というのは具体的に何かというと、パッケージのデザインを見ると分かり易いですね。
まず、その商品が「おいしそう」であるか。また、もしその商品が酸っぱいのであれば「酸っぱそう」な姿を与えなくてはなりません。
包材選びや生産ロット数、原価に見合った価格の包材が選ばれているかどうかも必要だし、内容が解りやすいか、容量と価格は適切か、など。
様々な要素を含め、最終的には利益をもたらすものが適切なデザインだと言えます。
機能は名刺という小さなツール1枚の隅々にも施されます。
例えば「余白」。
レイアウトにおける余白というのは「余ったスペース」のことではありません。
余白自体が機能性を持つこともあります。約物といった装飾も、「余った箇所に入れた」だけでは十分な機能を果たしていません。
横に置かれた情報を補填する機能が果たされているかが大事です。
機能の調和が情緒を纏って旅立つ
機能のバランスに調和がとれたものが最終的に「美しい」デザインとして姿を現します。
機能的価値を備えたデザインが、最終的には情緒的価値を身に纏って世に旅立ちます。
製作の課程で丁寧に機能性を検証していくことも大事で、その取り組み自体をクライアントにも分かり易く伝えていくべきだと考えています。