こんにちは!アルジュナのアートディレクター、樹世です!
私たちアルジュナがリスペクトしているディーター・ラムス氏による「良いデザイン10ヶ条」に学び、気がけている事を書いています。今回は第2条。
2. Good design makes a product useful.
良いデザインは、製品を有用にする。
製品は使われるために買われる。
それは、中心的機能においても付加的機能においても、明確な目的を果たさなければならない。デザインの最も重要な任務は、製品の有用性の効用を最大化することである。
実用的であるということ
私にとって最も「実用的」という言葉に近いジャンルとしてパッケージデザインが挙げられます。
なおかつ、消費者の目に触れる機会も多く実益を伴う商品であるということもあって、とてもセンシティブで気力の要るお仕事です。
パッケージデザインの仕事に携わるようになってかれこれ7-8年。振り返れば失敗や反省が多く、その中で得たものが凝縮され今に生きているなあと思わずにはいられません。
この第2条で言われている「有用性」の大切さを学んだ、包材関連の仕事で心掛けている鉄則をいくつか挙げてみます。
組み立てやすいこと
捨てやすいこと
嘘がないこと
…すごくシンプルな箇条書きになりました。
初めてパッケージのお仕事が来た頃、とても嬉しかったので、どう表現しよう、どうデザインしたら自分が買いたいようなものが作れるか、と多分に思いを馳せた日々が甦ります。
それから長年、生産者のお客さんに関わってきた分、「表現すること」ばかりにこだわることから離れ、どんどんお客さんの要望に寄り添う態度に変わってきた。そういう日々が思い返されます。
1.組み立てやすい…これは包材の種類にかかわらず全般に考えられること。毎日大量の商品を作り出す工場の事情を考えれば、箱が組み立て易かったり、ラベルを貼ったり巻紙をしたりとそういった手間をできる限り省いてあげるアイデアを出すことが大切。現場の事情をよく聴いて、職人さんの気持ちに寄り添うことです。印刷の版数を減らしてコストを削減したり、こわれにくく配送しやすい、といったアイデアも、「組み立てやすい」という配慮に含まれています。
2.捨てやすい…せっかく大事に作ったものだから、捨ててほしくないな、なんて思ったこともありますが、まずは環境に優しいものを作ることが大事だと思うようになりました。そして、買ってくれたお客さんがゴミの分別に困ったり箱を分解するのに手間取ったりとそういうストレスを軽減できたらさらに良い仕事だと思っています。良いパッケージは、捨てるときも気持ちが良いといいですよね。これは私の今後の課題でもあります。
3.嘘がない…まずは主役は中身の製品であること。開けてみて、触れてみて食べてみて、外に纏ったパッケージとの齟齬がないように仕立てることが大切です。嘘をつかないためにも、中身が良く見えるようにしてあげたり、どんな味がするのか言葉で丁寧に表現したりと、情緒的な部分ではとても繊細に考慮しています。
ステキな包装紙だから、とっておきたいな。
丈夫でかっこいい箱だから何かに使いたいな。
…このように消費者が感じてくれたらすごく嬉しいことではありますが、それを優先せずに機能的に「売ること」「買うこと」「使うこと」ができるような配慮、「有用性」を優先に考えていきたいと思っています。
次回は第3条
3. Good design is aesthetic.
良いデザインは、美的である。
のお話です!ではまた次回!