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紫陽花ってリトマス試験紙みたいだ。

紫陽花ってリトマス試験紙みたいだ。

こんにちは。長崎のブランディングデザイン事務所「アルジュナ」の宮﨑です。
みなさんは、今年の梅雨をどんなふうに過ごしていますか?

 

しとしと降る雨。いつもより静かな朝。

 

窓の外は、濡れたアスファルトの匂いと、緑が深まった景色に包まれていて、少しだけ時間がゆっくり進んでいるような気さえします。
そんな中でふと目をひくのが、やっぱり紫陽花。
梅雨の風景の中では、ある意味「主役級」の存在ですよね。

 

この紫陽花、よく見ると、毎年ちょっとずつ違う色で咲いていたりしませんか?

 

青っぽかったり、赤みが強かったり、紫だったり。
まるで気まぐれな画家が、その日の気分で色を塗り替えているみたい。

 

でも実はこの色の変化、気まぐれでも偶然でもなくて、土の性質(酸性・アルカリ性)によって変わるという理由があるんです。
酸性の土だと青っぽく、アルカリ性の土だと赤っぽく。


なんか、小学生のときにやったリトマス試験紙みたいですよねw


紫陽花はまるで、「私はいま、こんな土地で育っていますよ」と、自分の環境を色で「報告」してくれているような。


自然に染まりながら、自分なりに咲いていく。
その姿に、僕はなんとなく、人の生き方や、日々のものづくりの在り方まで重ねて見てしまいます。デザイナーも、クライアントや社会、時代の空気に触れながら、その環境に応じた「色」を探して、かたちにしていくわけですから。

 

梅雨は、気分が下がりがちな季節ですが、そんなときこそ見えてくる静かな美しさや、繊細な変化があります。

 

紫陽花のように、しっとりと、でも確かに咲いているものたちに目を向けると、デザインの感性も少しずつ潤ってくる気がするのです。

⚫︎グラデーションの湿度

たとえば、青から紫へと移り変わる紫陽花の色合い。
これって、色相環でいうところの「寒色同士の自然な移行」なんですよね。

 

しかも、葉の緑や雨に濡れた背景と組み合わせると、とても静かで落ち着いた配色になる。なんというか、「湿度を感じる配色」だなと思っていて、

 

例えるなら、すりガラス越しに見る街の光のような。
調べてみると、これはwebデザインに用いられる「グラスモーフィズム」と呼ばれる手法だそうです。

 

「鮮やかな色」「パッと目を引くトーン」ももちろん魅力ですが、
それだけではない「重みや深みを感じる色」「ゆったりとした時間」を内包した湿度感のある色も、デザインには欠かせないと思います。

 

OOPS公式サイトの柔らかな色使い
https://oops-jp.com/heart/

 

中目黒正覚寺のしっとりとしたトーン
https://nakameguro-shogakuji.or.jp/


無限にある色の組み合わせの中から、その場や空気にふさわしい「色」を探すこと。
それが、紫陽花のような自然に学ぶデザインの醍醐味です。

⚫︎梅雨って憂鬱?

一般的に梅雨は、「ジメジメしていて気分が落ちる季節」と思われがちです。
確かに、外に出づらく、洗濯物も乾きにくく、低気圧で頭が重くなることもあります。
でも、だからこそ、この季節には「内側に向き合う時間」が生まれる気がします。

 

雨音のリズム、曇った空の光、窓越しの景色。
そういった“静かな世界”の中でしか生まれない発想や、感情のゆらぎがあるのかもしれません。
紫陽花も、たくさんの光を浴びて咲く花ではありません。
むしろ、日陰や雨の中でこそ、美しく、しっとりと色づいていく。

 

そう考えると、梅雨って意外と「創造の季節」なのかもしれないな、と。
ただ気分が乗らないからといってしょげなくても、いいのかも。
梅雨にしかできないこと、感じられないことが、意外とたくさんあると思うようになると

少し気分も乗ってきますね。

 

⚫︎ 濡れないように、ゆっくり歩いてみる

毎年同じように訪れる梅雨ですが、紫陽花は、今年もちゃんと「その土地の色」を映して咲いています。

 

デザイナーにとっても、目の前の環境や心の状態を、正直に、丁寧にかたちにすることは、大切な仕事のひとつ。
紫陽花のように、環境に合わせながらも、しっかりとした「自分の色」を見つけて表現していきたいなと思うばかりです。

 

雨が続くこの時期。
傘をさしていつもより少しだけ、ゆっくり歩いて、紫陽花を見つけてみようかな。
きっとそこには、その時、その場所にしかない「デザインのヒント」が咲いてる。
そんな気がします。