みなさんこんにちは。
長崎のブランディングデザイン事務所、アルジュナの樋口です。
先月、曽我部恵一さんの弾き語りライブに行って、アコギ熱が再燃。
ひとつのことを極めた大人になりたいものです。
今回は、気になるテレビコマーシャルについて書いていこうと思います。
みなさんもテレビを眺めていると、一度は耳にしたことがあるでしょう。
「シーデーとデーブイデーが・・・」
「やすぅ〜い!」
「社長〜!」

写真/夢グループ
そうです。
独特すぎる演出で知られる「夢グループ」の通販番組です。
一度見たら忘れられない掛け合いは、強烈に印象に残ります。
今回は「なぜ夢グループは売れるのか」を考え、分析してみました。
テーマは“ダサい”を強みに成立させるマーケティング戦略です。
番組の印象とマーケティングの本質
番組を見た正直な印象は、
演出が古く、映像やデザインのクオリティも決して高いとは言えません。
それでも、夢グループはしっかりと売れ続けています。
それは、マーケティングの本質を正確に突いている企業だからです。
今回はさまざまな角度から分析してみたいと思います。
ターゲットに特化したマーケティング

夢グループの最大の強みは、ターゲットが非常に明確なことです。
主な顧客は60代以上の高齢者。
テレビ離れが話題になる現代でも、テレビが身近にあり、デジタルにあまり慣れていない層です。
若年層を中心にSNSやデジタルマーケティングが主流となっている現在、
見落とされがちな60代以上の巨大市場を狙っています。
これはマーケティングの基本であるターゲットを絞るという原則を、徹底した例と言えるでしょう。
ダサいを武器にするブランド戦略

「ダサい」ことは必ずしも悪いことではありません。
むしろ、それ自体が重要なブランドイメージに繫がりなります。
60代以上のターゲットにとっては
・親しみやすい
・安心感がある
・難しくない
という印象につながります。
もし夢グループが、スタイリッシュな映像や洗練されたデザインで若者向けの演出に変えたらどうなるでしょうか。
おそらく売上は下がる可能性が高いでしょう。
理由は、顧客が「これは自分向けではない」と感じてしまうからです。
夢グループの“ダサさ”は、ターゲットに合わせて設計されたものと言えます。
物ではなく人で売る
夢グループのCMには、必ず
・優しい雰囲気の石田社長
・キラキラと明るい印象の女性歌手
が登場します。
ここで重要なのは、商品よりも人物の印象が記憶に残ることです。
通販ビジネスでは信頼が重要になります。
そのため、「何を買うか」だけでなく「誰から買うか」が大きな意味を持ちます。
印象的な掛け合いと、お決まりのフレーズ。
こうした演出によって、お二人はまるでインフルエンサーのような存在になっています。
つまり夢グループは、商品ブランドではなく“人”をブランド化して商品を売っていると言えるでしょう。
価格の見せ方
夢グループの番組では、必ず元の価格を提示してから特別価格を出すという演出が入ります。
例えば、「通常1万円ですが……今回はなんと……3,980円!」
この手法は、アンカリング効果と呼ばれる心理を利用しています。
人は最初に見た数字を基準にして、その後の価格が高いか安いかを判断する傾向があります。
つまり、最初に高い価格を提示することで、
後に出てくる価格を「かなり安い」と感じさせます。
こうして大幅値引きのストーリーを見せることで、購買の心理的ハードルを下げているというわけです。
低コストで多くの枠を確保

出演している番組枠を見てみると
・地方局
・深夜帯
・ワイドショーの隙間枠
など、比較的安価な枠を中心に活用しています。
その結果、低コストで多くのの露出を実現しています。
さらにテレビ通販は、電話注文が中心でリピーターが多いビジネスです。
一度顧客を獲得できれば、その後も継続的に購入してもらえる可能性があります。
つまり、広告 → 顧客獲得 → リピート
というシンプルで強い仕組みが成立しているのです。
競争相手の少ないフィールド

現在のマーケティングの主流は、SNSやWeb広告に集中しています。
多くの企業が同じ場所で競争している状態です。
そんな中、夢グループはあえてテレビを中心としたマーケティングを続けています。
いわば「逆張り」の戦略です。
その結果、テレビという競争の少ない市場で、実質的に独占に近いポジションを築いています。
夢グループは「マーケティングの教科書」

夢グループの通販番組は
「古い」
「ダサい」
「ネタっぽい」
と思われがちですが、実際には、マーケティングの基本を非常に忠実に実行している企業です。
ポイントを整理すると
・徹底的に絞られたターゲット
・ターゲットに合わせたブランド設計
・人物を中心とした信頼づくり
・価格の演出
・競争の少ないメディア選択
私たちは夢グループを笑いながら見ているつもりでも、
実は高度なマーケティングの実例を見せられているのかもしれません。
