商品開発からネーミング、価格の設定、パッケージのデザインまで 一連の流れをディレクション
株式会社松本ポートリー
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「ウェブサイトを何とかしたい!」 —そんな一つの相談から、雲仙島原の家族経営の養鶏所が主役の、心温まる再生プロジェクトが始まりました。これは、生産者である松本さんご一家 の鶏への深い愛情と、クリエイティブチームの情熱が一つになった28ヶ月間の物語です 。現場での発見や、時には保健所からの指摘といった予期せぬ課題も 、チームの絆を深めるスパイスに。数々の壁を乗り越えて「愛でたまご」という素敵なブランドが誕生し 、ついにはウェブ広告経由の売上が前月比3倍になるという大きな成功を収めました 。たくさんの「愛」とチームワークから生まれたこのブランドの物語はゴールではなく、まだ始まったばかり。今もなお、その挑戦とブランディングは続いています 。

現状調査で明らかになった課題とヒント
私たちの物語は、「止まったままのウェブサイトを、何とかしたいんです」という、一つの切実なご相談から始まりました 。それは、雲仙島原で大切に育まれた、一箱10個で3,000円の高級ブランド卵「ロ福たまご」からのSOSでした 。
その卵は、まさに隠れた宝物。しかし、その本当の価値は、いくつかの課題の影に隠れてしまっていました。業界の慣習に左右される不安定な利益率 。地元であるはずの長崎や九州でさえ、その名があまり知られていないという現実 。さらには、価格設定の根拠が曖昧で 、商品名も一貫性がなくその魅力を伝えきれずにいたのです 。
どうすれば、この宝物の本当の価値を伝えられるだろうか。
解決の糸口は、鶏たちが元気に暮らす養鶏場にありました。現場を訪れて私たちが目にしたのは、驚きの光景でした。鶏たちは、なんと78種類もの高級な餌を毎日食べて、のびのびと育っていたのです 。

課題解決に向けた3つの対策
養鶏場で見つけた「78種類の餌」という希望の光 。それを道しるべに、2020年12月、私たちはブランド再生に向けた大きな一歩を踏み出しました 。課題を一つひとつ解決し、この卵が持つ本当の価値を届けるための、具体的なアクションの始まりです。
まず着手したのは、利益と価格設定の土台を固めること。私たちの強みである「飼料」の原価を徹底的に計算し、自信を持って価値を語れる、そして事業としてもしっかりと成り立つ適正な価格の基礎を築きました 。
次に、少しぼやけてしまっていたブランドの輪郭を、くっきりとさせる作業に取り掛かりました。たくさんあった商品の種類を、思い切って3つに絞り込む 。これにより、私たちが届けたいメッセージをより強く、明確にすることを目指しました。
そして最後に、お客様が手に取った瞬間に価値が伝わるよう、商品名とパッケージデザインの全面的なリニューアルを決断しました 。
見た目も、名前も、すべてを一新し、新しい物語を語り始める準備を始めたのです。これらの一つひとつの決断が、新しいブランドを築くための、力強い第一歩となりました。

新ブランド「愛でたまご」の提案と深まるチームの絆
2021年2月、私たちは少し緊張しながらも、大きな期待を胸に、養鶏を営む松本さんご一家の皆様の前に立っていました 。これから始まる新しいブランドの未来を、ご家族全員で共有するための大切なプレゼンテーションです 。
私たちが提案したのは、新しいブランド名「愛でたまご」。そして、「お祝いの日に贈るたまご」という、心温まるコンセプトでした 。この物語を支えるのが、私たちの強みである「餌の品質と高い栄養価」です 。大切な日を祝うにふさわしい、本物の価値を届けたい。その想いをご提案しました。
プレゼンテーションで生まれた熱量をそのままに、2ヶ月後の4月には、松本さんと一緒に養鶏場の取材や広告のためのロケハンを実施しました 。
提案し、対話し、共に現場に立つ。この一連のプロセスを通じて、私たちはクライアントという関係を超え、同じ夢を見る一つのチームになっていきました 。

逆境から生まれた新コンセプト
「愛でたい日」
当初、私たちは鶏たちの食事である「餌」の豊かさや、そこから生まれる高い栄養価を伝えるパッケージデザインを進めていました 。しかし、2021年6月、プロジェクトは思わぬ壁にぶつかります。保健所から栄養成分の表示に関する指摘を受け、私たちが強みだと信じていた栄養価をストレートにPRすることが難しくなってしまったのです 。
計画は、白紙へ。私たちは大きな問いを突きつけられました。「この卵が本当に届けたい価値とは、一体何だろう?」栄養という機能的な価値を超えて、お客様の心に響くものは何か。チームは原点に立ち返り、コンセプトの再構築に挑みました。
そして、たどり着いた答えがありました。それは、「今日はあなたの愛でたい日」という、新しい物語です 。結婚記念日や誕生日といった特別な祝日だけじゃない 。誰もが持つ、一人ひとりにとっての大切な一日 。そんな日々にそっと寄り添い、祝福する存在でありたい。
この新しい光のもとでデザインは見直され、ついに2021年11月、新ブランド「愛でたまご」のパッケージが完成しました 。それは、一つの壁を乗り越えたからこそ生まれた、私たちの想いの結晶です。

ウェブ広告で
売上3倍を達成した販促展開
たくさんの想いを込めた新ブランド「愛でたまご」。その物語を、いよいよお客様へお届けする時が来ました。始まりは2021年8月の広告ビジュアル撮影から 。『愛でたい日』というコンセプトを一枚の写真に切り取る、心躍る時間でした。
そして2022年3月、ついに全商品の販売を開始 。翌4月には、新しい想いを綴ったウェブサイトも公開しました 。ウェブサイトの公開と同時にスタートした広告戦略 は、驚くほどの反響を呼びます。同年12月には、ウェブ広告を通じた売上が、なんと前月比3倍にまで成長したのです 。
私たちの届けたかった物語が、確かに誰かの心に届いたと実感できた、何より嬉しい瞬間でした。
私たちの挑戦は、ここで終わりではありません。翌2023年4月には、ブランド誕生1周年を記念したイベントを開催 。「愛でたまご」の物語は、お客様とともに、これからも続いていきます 。